2020年8月31日月曜日

ラメインクであそんでみた

  

8月よりJAMでは2週間ずつのインターンシップを実施しています。
学生さんたちにJAMでの業務を体験しながら、自分たちでテーマを決めてシルクスクリーンの実験をしてもらいました。
今回、題材として選んだのがラメの入ったSURIMACCAインク。
どのような実験になったのでしょうか。。。



今回は、ラメインクを使って
①他のインクと重ねるとどういう発色になるのか?
②重ね刷りした上からツヤプリするとさらにぷっくりするのか?
と疑問に思ったので実験してしてみました!

ラメ入りのSURIMACCAインク(ゴールド、シルバー、カッパー)は、インク自体にラメがぎっしり入っています。
ラメは目詰まりを起こしやすいので、専用の製版を使用してください。
■SURIMACCAインク/シルバー
■【インクがよく通る製版】SURIMACCAインク金・銀・銅専用

まずはそのまま刷ってみる

図案を用意して、白と黒の紙にシルバーで刷ってみました~
どちらもキレイに発色していますが、白っぽいのインクなので黒い紙に刷った方がよりしっかり発色しているように感じられます。
画像では少しわかりづらいですが、シルバーのラメがぎっしり入っているので、実際にはとてもギラギラしています

実験①他のインクと重ねるとどういう発色になるのか?

シルバーインクに通常のインクを重ねると、どのような発色になるのでしょうか?
通常のインクで選んだのは『Umi』。夏らしいあざやかな青色です。
この実験では、A.ラメ→通常のインク、B.通常インク→ラメの順で重ねていきました。

刷る時には、紙がズレないよう下の図のように用紙の角にマスキングテープを貼りました。
まずは、白い用紙に印刷。
左がA.ラメ→通常のインク、右がB.通常インク→ラメの順で重ねたものです。
A.は重なった部分の彩度が少し落ちてメタリックな質感に、
B.は重なった部分が白くなりキラキラしていますが、下のUmiの色が透けてレイヤーをより感じます。
白い用紙ではシルバーのインクはグレーっぽい色なのでUmiの鮮やかさは落ち全体的にグレイッシュな仕上がりになります。

次に黒い用紙に刷っていきます。
左がA.ラメ→通常のインク、右がB.通常インク→ラメの順で重ねたものです。
Umiは黒地に発色が弱いインクのため、かなり色が沈んで見えます。
群青色みたいですね。
A.は重なった部分がUmiの色味がでてきて彩度が上がっています。
また、ラメが青くみえキラキラしています。
B.は先に刷ったUmiの色味がほんの少し透けていますがUmiの色味は沈んだままです。

黒い用紙では白い用紙に比べて、よりレイヤーが感じられる仕上がりとなりました。
この実験では最初に刷った色味はある程度出ること、刷る素材の地の色によって発色の仕方がかなり変わることがわかりました。

実験②重ね刷りした上からツヤプリするとさらにぷっくりする?

ラメインクを使ったまぜまぜインクとクリアインクを交互に重ねていき、最後にツヤプリをかけると通常よりもぷっくりとした仕上がりになるのか?
今回用意した図案はアイスクリームの図案、2つ同じ版を用意しました。
刷る用紙はバウムというクリーム色の用紙を使用します。
※ツヤプリパウダーは布には使用できませんのでご注意を!
まず、まぜまぜインクをつくっていきます。
使ったインクはシルバー、ミント、クリアの三色。
少し透明感を出したかったのでクリアを多めに、ミントとシルバーをちょこっと入れて混ぜ混ぜ…
透明感のあるカラーができました。

刷り重ねる時に版を置く位置がわかるように、一回目の版を置いた場所にマスキングテープで印をつけます。
二回目のクリアインクを刷る版も同様に印をつけていきます。

印刷開始!
一回刷ったらドライヤーで乾かし、また上から重ねて刷っていきます。
位置を何度も合わせて慎重に。
これを五回(!)同じように重ねて刷っていきます。
刷り終わったらツヤプリパウダーを全面にかけて、余分なパウダーを振り落とします。

200℃に設定したヒートガンでツヤプリパウダーを熱していきます

完成~!



隣に刷った一回刷りにツヤプリパウダーをかけたものと比べるとだいぶ厚みが出てぷっくりしています。
まぜまぜインクにクリアを混ぜたので透明感ある発色になりました!

みなさんも是非ツヤプリを使って、見るだけじゃなく触って楽しめる印刷試してみてくださいね!
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JAMLAB

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こちらからお問い合わせください。
omise@jam-p.com

2020年8月27日木曜日

アクリル板に印刷してみた

 

こんにちは!

たまにお客様から「◯◯の素材には印刷ができますか?」といったお問い合わせがあります。

布や紙への印刷が多い、シルクスクリーンですが、他の素材にも刷れます!
ただ、JAMであつかっているスリマッカインクは水性インクのため、
素材に染みこむことで定着します。
素材によっては、インクとの相性が悪く定着しづらいものも…。

例えば…
・木材:◯
印刷できます!ただし、シルクスクリーンは段差が苦手な印刷なので、
木目などで印刷面に段差ができる場合ははじめにヤスリなどで
平らにしておきましょう!

・ナイロン素材:△
表面がツルツルとしている布素材への印刷は定着が弱く、
印刷面を強くこすったり、鋭利なものでひっかくと
印刷がはげる可能性があります。

・アクリル板:△
こちらも表面がツルツルしており、インクが染みこまないため定着しません。
外からの衝撃ではげる可能性が高く、印刷としての強度は低めです。

・タオル地:×
毛羽だった生地や毛足の長い生地にはにはインクがうまくのりません!
せっかく用意した図案なのになにがなんだかわからなくなってしまいます。

…このように、向き不向きがあるのですが、
今回のJAMLABでは向いてない素材への印刷にチャレンジしてみようと思います!

アクリル板への印刷に挑戦

上記で挙げた苦手素材の中から今回はアクリル板への印刷に挑戦!

アクリル板へ印刷は、印刷面に外から衝撃があるとはげる可能性があり!とお伝えしましたが、
「じゃあ外からの衝撃がこないようにしてしまえ!」というアイディアのご紹介です。
無◯良品でアクリルの写真立てを買ってきました。
ここに写真を入れるのではなく、直接印刷します!どきどき!
印刷するために分解しておきます。

図案はこんな感じです。
夏真っ盛りなのに、とても春っぽい図案を用意してしまいましたね。
気合の4色印刷です。アクリルへの印刷は未知!頑張ります。

印刷スタート!

版分けイメージはこのようになりました。Mサイズにまとめて節約節約。
線画が反転しているところが今回のポイントですよ!
1色目!背景のチェックをイエローで印刷します。
完成イメージをプリンターで印刷した紙を敷いておくと位置合わせが簡単!

定着しづらいというだけで手順は通常のシルクスクリーンと変わりません。

下に完成イメージを敷いているので、ちょっとわかりづらいですが…
ちゃんと刷れています~。

注意ポイントは、アクリルはつるつると表面が滑りやすく、
版がうごきやすいのでしっかりと版を抑えてること!です。


しっかり1色目を乾燥させてから…
2色目!お花部分をTAIWANですりすり~
お次は3色目!葉っぱ部分!こちらはグリーンのインクです。
だんだんと全容が見えてきましたね~。

3色刷るとこんな感じ。
コピー機で出した完成見本の色味よりもかわいくさわやかな発色ですね。


最後の4色目はもう一枚のアクリルに刷ります!
外側に印刷してしまうと、外からの衝撃で剥げる可能性があるので、
内側に印刷します。反転していたのはそのためですね。
あとはしっかり乾かす!しっかり乾かす!!
刷り作業は終了です。あとは写真立てを組み立ててみましょう~。

組み立てて完成です~

インク面が内側にくるようにアクリルを重ねてネジを留めると、
おうちのインテリアにも使えそうなアイテムができあがりました~。
内側に印刷しているので、インクがはげる心配もなし◎
アクリル板でも工夫次第でシルクスクリーンを楽しめます!
今回はその一例でしたが、他にもアイディアがあれば教えてください~

■SURIMACCAセット


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JAMLAB

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2020年8月22日土曜日

【ホワイト×UMI】まぜまぜ発色実験!

 

JAMとターナー色彩さんの共同開発でうまれた『SURIMACCAインク』。

目詰まりがしにくく、ポリエステルにも刷れちゃう優れものですが、

インクによっては、黒地などに印刷する際発色が弱い場合が、、、

今回は黒地に特に発色が弱い『UMI』に、黒地に発色が強い『ホワイト

(KOTTERI)』をまぜるとどれくらい発色に変化が出るのか実験してみました。


今回実験を行うのは4色。

UMI 100%のものと、ホワイトにそれぞれUMIを約70%、約50%約30%をま

ぜたもので実験します。(%は目安になります)


使用するホワイトは通常インクよりも固いインクとなるので、版は『70メ

ュ』のものを使用します。


それでは早速インクを作っていきます。






















作ったものがこちら





















こんな感じです。これだとちょっと間の色見が分かりづらいので白い紙にイ
ンクをおいてみます。



















左から UMI 100%、約70%、約50%、約30%です。
それでは黒地にそれぞれ印刷してみましょう。





















刷り刷り...





















ちなみに今回のモチーフは犬張り子です。かわいいです。
そして余談ですが、モチーフとモチーフの間をつめすぎると、上のようにイ
ンクが重なって印刷しづらい場合がありますので、しっかり間をあけること
をおすすめします。(ちょっと刷りづらかったなぁ)

余談はさておき早速見てみましょう!どうかな~?


うわすごい見える!!!
元々の発色と比べると約70%くらいからでも発色が良いですね!
元のUMIの色と比べると約70%と約30%のものはブルーとアクアの色見に似
いる気がします。
ホワイトをまぜたUMIとブルーとアクア、どっちが発色がいいんだろう....


ということでさらに実験!

次はホワイトまぜたUMI 約70%、約30%のものと、ブルーとアクアの発色
実験です。





















色見の違いはこんな感じです。
左から UMI約70%、ブルー、UMI約30%、アクアの順番です。
色を並べるとややホワイト×UMIの方が明るい気がします。

結果はこちら



















ホワイト×UMIは黒地の影響を受けてないのに対して、ブルー、アクアは黒地
の影響を受けて若干透け感がある印象です。
色がついた素材にしっかりと発色させたい方はホワイトを他インクにまぜて
使用するのもひとつの手かもしてませんね◎

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JAMLAB

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2020年8月17日月曜日

『もこもこインク』重ね刷りしたらどうなるの?

8月に入ってJAMでは2週間ずつのインターンシップがはじまりました。
フレッシュな視点でシルクスクリーンの実験をしてもらった様子をJAMLABで紹介していきます。
今回は『もこもこインク』をつかった重ね刷りの実験。
果たしてうまくいったのでしょうか?
もこもこインクはアイロンをかけるとモコっと膨らむ発泡インク。
これを重ねて刷っていく、重ねたところは更にモコっとするのだろうか?
どこまで重ねられるのだろうか?
と疑問に思ったので、実際に試してみました。
今回はぶあつい紙 くろ、クーヘン、チャイの三枚の用紙で実験していきます。

流れはこんな感じ

もこもこインクそのものは白色ですが、インクを足すことで色をつけることができます。
ただし、色を濃くするともこもこインクの割合が少なくなるため、もこもこ感が減ってしまいます。配色も重要。
今回は白いわんちゃんの図案にしたので、重ねて刷った部分はよりふくらんだように仕上がるのか、はたまたブラックを混ぜたもこもこインクはどれぐらい膨らむのかを試していきたいと思います。
流れとしては、
①土台となる頭をもこもこインクで刷る
②口周りをさらにもこもこインクで刷る
③顔のパーツをSURIMACCAインク ブラックを混ぜたもこもこインクで刷る

また、1色するごとにアイロンをあててその都度膨らましてから次の色を重ねていく【実験A】と
3色まで刷ってからアイロンをあてて、最後に膨らませる【実験B】の2パターンを検証していきます。

刷る前の準備①(版と道具の準備)


今回はXS(200×80mm)版に3つのパーツを並べて配置したので、図案同士が近くなってしまいました。
そのため、マスキングテープで刷らない図案部分はふさいであります。
もこもこインクは少しドロッとしていて、乾きやすく、版に詰まりやすいので、70メッシュでインクがよく通る製版がおススメ。
■インクがよく通る製版(70メッシュ・クリーナーあり)
また、念のため、版が目詰まりを起こしたりしたときのためにウエスも用意しておきましょう。
版にインクが詰まり出したら、濡らして軽く絞ったウエスで版の裏面からインクを拭き取り、さらに乾いたウエスでやさしくしっかり拭いてください。

刷る前の準備②(刷る素材とインクの準備)


印刷部分がベタなので、用紙の端をマスキングテープで押さえ、版をはがしやすくします。
ただし、今回使用したぶあつい紙などはマスキングテープをはがす際、紙端がめくれてしまったので素材によっては注意が必要です。
また、今回は先に黒いインクの準備もしておきました。(刷る直前に準備しても大丈夫)
先ほど書いた通り、もこもこインクの割合が減るともこもこ感が減ってしまいます。
今回は、もこもこインク:ブラックインク=9:1(18g:2g)の割合で作ってみました。
刷ってみるとイメージよりもグレーに近い色になったので、しっかりとした黒色にしたいなら、もう少しブラックインクが多いほうが良いと思いますが、その分もこもこ感が減っていくので注意が必要です。

実験A 1色ごとにアイロンをあてていく

1色目から刷っていきます。
しっかりもこもこさせるため、2回刷りしました。
ドライヤーで印刷部分のベタつきがなくなるまで乾かしたら、アイロンをあてて、熱でインクを膨らまします。
今回は150℃で20秒ほど、テフロンシートをあて布に使用してアイロンをあてました

2色目を重ねていきます。
この時、膨らんだ1色目が版に密着してしまうのを防ぐため、枠の下に薄い板などを置いて密着しない程度に版に高さを出しましょう。
膨らんだ土台の上へは刷りにくいかと思いましたが、段差があるところではなかったからか、スッとすることができました。
おお!
さらにもこもこしている!
(白の上に白なので見にくいですが、段差ができています…)
これは上手くいっているのでは…?
この調子で3色目も重ねていきます。
3色目は段差をまたいで刷らないといけないので、ちゃんとインクがのるのかドキドキ。
アイロンをあてると、ちゃんとわんちゃんに!
ブラックのインクを混ぜているせいか、ベースの白よりはもこもこ感が少ない気がしますが、さわると膨らみを感じられる仕上がりに。

実験B 3色目まで刷って最後にアイロンをあてる

実験Aと同じく、アイロンをかけた状態の1色目の上に2色目を重ねていきます。
ドライヤーでベタつきがなくなるまで乾かしたら、アイロンはあてずに3色目も重ねちゃいます。
実験Aで、その都度アイロンをかけると段差になることがわかりました。
インクが重なった箇所はまとめてアイロンをあてるとそれぞれ膨らんでくれるのでしょうか?
うーん、そんなに変わらないかも…?
実験A同様、段差は感じられる仕上がりに。

まとめ

もこもこインクを重ねている部分が、ちゃんと段差になって見えるのだろうかと心配だったのですが、重なっている部分が濃くなったので、きちんと絵柄を出すことができました。
今回は刷るたびにアイロンをあててもあてなくても段差を感じられましたが、重ねる図案によって変えるのがいいかもしれません。
重ねるとさらにもこもこする面白い結果となりました。
もこもこが重なりあったポストカードなんて、面白いかもしれませんね。

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JAMLAB

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